2016年3月13日日曜日

雅塾通信 第84号・・・月さすや 本を片手に床に就く(H26.9.1)

中国の書の歴史・・・その20
 唐の二代目太宗皇帝(597~649)は文墨を好み、特に王羲之の書を愛し、金にいとめをつけずに全国から収集しました。それらの鑑定をしたのが、欧陽詢(おおようじゅん)・虞世南(ぐせいなん)・褚遂良(ちょすいりょう)らです。太宗は集めた書跡の中から選書して搨本(とうほん=石搨にして写し取ったもの=拓本)をつくり、家臣に習わせたり、王羲之の字を集めて<聖教序>の碑を建てたりしました。
 皇帝のこの熱狂的な書道嗜好は前述の三大家を輩出し、書の隆盛期を形成しました。また、太宗は自らも健筆を揮い、王羲之風をベースにし、王者の風格もそなえた堂々たる雄壮な行草書を残しています。代表的作は<晋祠銘=しんしめい>と<温泉銘>です。
 「吾、古人の書を学ぶに、殊にその形勢を学ばず、ただその骨力を求む、而して形勢は自ずから生ず」これは太宗自身の言葉として残っています。

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