中国の書の歴史・・・その2
漢字起源の伝説から一歩話を進めて、殷王朝の後期・・・甲骨文字が使われていた時代です。
その頃はすでに青銅器文明も栄えており、貴族は農耕を主な生業とする庶民の上に立って、極めて豪奢な生活を営んでいました。甲骨文字は、この時代の殷王朝の遺物といえるでしょう。
甲骨文字とは・・・については漢字の歴史の項で述べましたが、書の歴史という観点から少し細かく分類すると五つの段階に大別することができます。
いわゆる第一期と言われる時代のものは文字も大きく線も太くて力強いものが多く、しかし字粒はそろっていません。
第二期では文字の大小が揃ってきており、全体の配列もかちっと丁寧で生真面目です。
それが第三期になると、なぜか文字はぞんざいに書かれるようになっていき、彫りも浅く不鮮明なものが多く中には誤字や脱字もかなり見られるものがあります。
第四期に入って、やや縦長の字形が多くなり、繊細な線で刻まれたなかにも力強さを秘めた鋭さが出てきます。
第五期は、肉眼で読むには少し苦労する程の小さな文字になり、規則正しく行を整えて書かれるようになってきました。
この変化は書道史的には特に興味というか注意を要するところでしょう。
とろこで以前、筆の話のところでも紹介しましたが、この時代にはすでに毛筆が存在した証拠があると書きました。それは甲骨文のなかにでてきます諸字は毛筆を手に持っている官吏を表した文字です。
原始的ではありますが、殷代に書道の芽生えが始まっており、中国最初の書道資料として甲骨文のもつ意味は大きいと言わねばなりません。(参考資料、書道全集、書の基本資料)
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