中国の書の歴史・・・その9
今回は木簡に見られる各種の書体のうち行書、草書です。
①草書
これは、1930年スウェン・ヘディンを中心とするスウェーデンと中国の合同探検隊の手によって、甘粛省北部より発見された有名な木簡です。
書写年代は、永元(93年)と簡に記されていることからして、当時の草書体を偲ぶには格好の資料です。木簡中の「今」「年」などに見られる大胆な縦画は長文の中にあって自然とアクセントを入れたりしてなかなか心憎いものがあります。
②行書
タクラマカン砂漠の東辺に位置した都市、楼蘭の遺跡で、ヘディンにより発見されたこの晋代の木簡の行書は、漢代の隷書を中心とした草、行書より更に洗練されています。このことは、流通書体として草、行書が頻繁に使用され、定着期に入ったことを示していると解釈できます。
起筆に力を入れず、スッと引き、はっきりとした収筆を見せている点などは当時の流通書体を示す特徴と言えます。
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