2016年8月28日日曜日

雅塾通信 第103号・・・初採りの ぱこんときゅうり丸かじり(H28.7.1)

 第一回の墨盒書道展が無事終了しました。出品者のみなさんお疲れ様でした。
昨年6月に運営委員会を立ち上げて松本熙盦委員長以下13名の委員が七回の会議を開き綿密に準備を進めてきました。元漱雲会の支部など七つ、出品者53名でした。
 ここで書展の種類について少し触れてみます。大きく分類すると次の三つに分けらえると思います。(1)公募書展、(2)グループ展、(3)個展です。これをさらに細かく分類すると

(1)公募書展
 (イ)新聞社主催の書展
   代表的なのが、毎日書道展、読売書法展、産経国際書展、東京書作展などです。
   その他、地方新聞社主催のものもあります。
 (ロ)団体主催の書展
   日展を頂点に各書道団体が主催するもので、代表的なのが日本の書展(全国美術振興会)
   謙慎書道会展、創玄展、日本書芸院展、書海社展等々数限りないと言えます。
 (ハ)地域密着の公募書展
   県展、市民展、区展等々、行政単位の公募展もほとんどの地域にあります。

(2)グループ展
 二人展からはじまって、10名単位、なかには数百名単位の規模の大きなものもあると言います。
 年間を通じて全国のギャラリー等で開かれるグループ展の数はほとんど数えきれないくらい多い。主催者を中心とするもの、書思想を共有するものなど、その性格も実にさまざまで今回の墨盒書道展もこの部類に含まれます。

(3)個展
 書展のあり方としては、主張や傾向がはっきりしており、芸術活動としては理想的な形式と思います。
 (イ)企画展
   美術館の学芸員などが企画する催しで、その評価は高いと言えます。少し前になりますが
   2002年に開かれた東京国立博物館の西川寧生誕100年記念特別展や、京都市美術館に
   おけるかなの日比野五鳳展などは代表的でしょう。近くは国立新美術館・北海道立函館
   美術館の金子鷗亭展、岡山県立美術館の高木聖鶴展、千葉県立美術館の種谷扇舟展
   などがありました。
 (ロ)個人
   個展のほとんどは、この個人企画のもので、年間を通じて大中小規模でたくさん開かれて
   います。個展は書展のあり方としては理想的と思いますが、作家の負担が大きいのが現実
   です。

雅塾通信 第102号・・・苦瓜の 新芽虚空に思案顔(H28.6.1)

中国の書の歴史・・・その32
 元代を代表する書法家のもう一人は鮮于樞(せんうすう、1257~1302)です。漁陽(現在の河北省薊=けい県)の出身で、永らく銭塘(現在の浙江省杭州市)に居住し高級役人として務めました。
 字は(あざな)は伯機、号は困学眠、直案老人、虎林隠史などと称しました。
詞賦をよくし、書法名画古器物の収蔵に富み、また鑑定もよくしましたが、書画に長じて高名になり当時の第一人者趙孟頫より三歳年下で北方の人らしく豪放素朴、書風も晋唐の伝統を守りながらも独自の世界を切り開いています。これは南方の貴族出身の趙孟頫には見られない部分であります。
 晩年は浙江省都事を最後に西湖のほとりの虎林に室を移し、困学齋と称して門を閉じ俗客を謝絶して読書に励み、琴を弾じ書を楽しんで晩年を過ごしたと言われています。
 下の作品を前号趙孟頫の作品と比較してみるとわかりやすいでしょう。