2017年2月12日日曜日

雅塾通信 第110号・・・雪被り 面貌変える今朝の山(H29.2.1)

 毎年思うことですが、1月という月は長く感じます。いつもと違う行事が多いせいかと思いますがはっきりした原因はわかりません。
 暮れから正月にかけては子供三夫婦と孫たちが計13名押し寄せ、四日まではその後始末に追われます。その合間をぬって寺をはじめとして3軒ほど御年始回りをします。
 展覧会鑑賞にもいきました。まず書友・木附さんのほのぼのしたやすらぎ個展、三度も遊びに行ってしまいました。
 上毛書道30人展では篆刻を出品した飯島さんの席上揮毫がありました。篆刻の性質からして難しい企画と思いましたが、刻す文字を揮毫し、刻した後、拓本に採って見せるという今までの席上揮毫には見られなかった内容のパフォーマンスでよい演出でした。瓦泥印を使った試みも新鮮味がありました。
 「日本絹の里」特別展では”群馬の養蚕ことば”というテーマでギャラリートークがありました。講師は新井蘭雪さんでした。最近方言や言葉に関して新井さんがよく新聞紙上に登場します。いまや言語学や方言学のスペシャリストです。
 新井さんのトークは、持ち前のソフトな滑舌で、とかく難しくなりがちな学問の世界を、トーク会場に合わせて自分の言葉と身近な体験を通して語りかけるのでとても解りやすく飽きさせません。
”蚕”に「お」や「さま」の敬語をつけるのは生計を支えてくれるものへの畏敬の念の現れであるということに留まらず、養蚕を生業とする人たちの生活の中に育まれた優しさが見られるという踏み込んだ表現は聞くものに当時の生活様式を連想させ、方言を学問として見るだけではない講師の人間性の豊かさが感じられます。私も母の実家が養蚕農家でもあったので当時、子供ながら母について手伝いに行った頃のことを思い出します。
 月末には高崎シティギャラリーで開催された日中書画交流展を見てきました。これは高崎書道会と中国の標準草書学社の会員による合同展で、昨年の秋に南京で開催した作品を移動展という形をとって今回高崎で展示したものです。
両会とも于右任(うゆうじん)先生を師と仰ぐ書道団体で以前から深い友好関係を結んでいます。個性を前面に押し出すことに重点を置いた最近の中国書道の風潮を思わせる大胆な作品が、標準草書学社会員のなかにたくさん見られました。
于右任先生と故金沢先生の作品は傑出しておりしばし見とれてしまいました。
 さて、今年度の前期昇格試験課題が発表になりました。詳細は聖筆誌2月号58ページに載っていますのでご覧ください。作品締め切りは5月10日です。塾としては5月6日の練習日を最終提出日とします。まとめて勉強できる機会ととらえて挑戦することを期待します。
ある学習塾の先生がこんなことを言っていました。
人間の脳は本来怠け者にできている。努力したり考えたりすることは嫌いでのんびりしているのが好き、と言うのです。面白いと思いました。ただし、目標を持つと俄然活性化して働きだす。勉強嫌いの子供も目標が決まってやり始めると三か月で変わっていくのが解ると言うのです。なるほどさようかと思った次第です。